さて、今日はサンフランシスコにあるWalt Disney Family Museumーウォルトディズニーファミリー博物館ーにてグレンキーンの新しいショートフィルムDuetについての講演があったので行ってきました!
グレンキーンはアメリカでアニメーションをやっていたら絶対知ってるレベルの元ディズニーのアニメーターです。ビースト、アリエル、ポカホンタス、アラジンなどなどをアニメートしたことでも有名なディズニーレジェンドです。
現在はディズニーを去り、独立して去年ショートフィルムを作ったようです。それがこちら、
で、ただのショートフィルムだと思ってたんですよ。それが実は違ったみたいで。Googleとともに作ったインタラクティブなアニメーションプロジェクトを映画の形に編集しなおしたものだったみたいです。
こちらの記事にインタラクティブアニメプロジェクトについて詳しく書かれています。
googleのインタラクティブ・アニメ・プロジェクトとグレン・キーンの『Duet』
今日ちょっとそのインタラクティブ版のデモもしていましたが。これは、インタラクティブ版のほうが10倍は内容を楽しめるし、おもしろいし!と思いました。なので、そのうちインタラクティブ版を楽しめたらなあと思います。(なんというかNYでやっている私の大好きなショー、SLEEP NO MOREを思い出します。)
※SLEEP NO MOREはニューヨークでやっている参加型ショーで。5階建てくらいのホテルの設定でその中全部が舞台になっておりいたるところで俳優が演技をしており、どこに行くも自分次第!モダンダンス色が強くシェイクスピアのマクベスをベースに話がすすんでいきます。マクベスのストーリーをザッとおさらいしておく他はあまりリサーチはなさらず行くのがお勧めです。NYに行くことがあれば絶対に行った方がいい超お勧めショー!
まあ、プロジェクトのことやグレンキーンがどれだけ凄い人かなんてオンラインで調べたらいくらでも出てくると思いますので。今日のレクチャーでグレンキーンが言っていたことについてメモをしました。それがとてもインスピレーションを沢山もらえる内容だったのでそれについて書きますね。
箇条書きだったり文章だったり。かなり内容がまとまっていませんが個人的なメモみたいなものでもあるので勘弁を!
では今日のメモからです!
ーディズニースタジオに始めて入ったときの感じー
グレンキーンは初めてディズニースタジオに足を踏み入れた時に、なんというか感動のようなものを覚えたそうです。その場所でディズニーのアニメが作られウォルトがそこに居たというような歴史やルーツのようなものを。ディズニーアニメーションスタジオは今も昔も同じ場所にあるのでまさに、そのスタジオに行くと、ここで昔ウォルトディズニーが歩いていた!映画を作っていた!ナインオールドメンがアニメーションをしていた。っていう場所なのですね。私も始めてディズニースタジオを訪れたとき、ディズニーの歴史というようなものを肌で感じ凄く感慨深かったのを覚えていますが、グレンキーンはその感じをまさにサンフランシスコにある、ディズニーファミリーミュージアムに足を踏み入れたときに感じたそうです。
ディズニーファミリーミュージアムは、2年前に亡くなられたウォルトディズニーの娘ダイアン・ディズニー・ミラーさんが中心となって立ち上げた博物館なのですが。現在のウォルトディズニー社とは関係はなく。ウォルトディズニーという人物の歴史、功績を保存するための博物館なのです。(私はこう何度か足を運んでレクチャーなど聴いているのですが、いつも時間がなくメインの博物館に入ったことがありません泣)そのせいか、この場所には同じような雰囲気がある、とグレンさんは言っていました。
ーインタラクティブショートフィルム"DUET"についてー
- アンドロイド向けに作られたインタラクティブショートである。
- 制作には1年かかった
- 少年少女の物語はまるでスパイラルの階段のようになっていて、途中途中で交差するが、いつも逆の方向にすすんでいる。
- 色彩は娘さんのクレアキーンさんがやった。
- 自分で好きなキャラクターを追っていい(つまり女の子を追うと男の子の方は見れない。逆もしかり、ただ二人の物語はしょっちゅう交差する)
ーThe Character Exists before I draw themー
グレンさんは、「キャラクターは自分が描く前から存在する」と信じているそうです。まるで絵を描くことでキャラクターをこちらに引っ張ってきているような。
ーエリックラーソン(だったと思う)との思い出どうやってディズニーに雇われたかー
グレンキーンはとっても、ディズニーに入りたかったそうです。そして、ある時ナインオールドメンの一人エリックラーソンに自分のポートフォリオを見せたようです。(確かエリックラーソンって言ってたと思います90パーセントくらいの確立で!)
何ヶ月もかけた絵や何時間もかけた絵、だけど、エリックは「フムフム」といいながらペラペラとめくっていってしまいます。そして、ある時腕を止めて一つの絵を見つめて「こういうの、こういうのはもっとないのか?かけないのか?」といったそうです。その絵はなんと数秒で描いた殴り描きの様な絵で、むしろポートフォリオには入れないほうが良かったかもと思っていたものだったそうです。だけどエリックは「リズムがあり、生命感がある、こういうのをもっと持ってきてくれ。」といったそうですそれから一週間、なんと7冊のスケッチブック(だったか700の絵だったかな?)をうめて持って行ったそうです。そして、ディズニーに雇われたそうです。
ーDo not animate what the character's doing. Animate what the character is thinking.ー何ヶ月もかけた絵や何時間もかけた絵、だけど、エリックは「フムフム」といいながらペラペラとめくっていってしまいます。そして、ある時腕を止めて一つの絵を見つめて「こういうの、こういうのはもっとないのか?かけないのか?」といったそうです。その絵はなんと数秒で描いた殴り描きの様な絵で、むしろポートフォリオには入れないほうが良かったかもと思っていたものだったそうです。だけどエリックは「リズムがあり、生命感がある、こういうのをもっと持ってきてくれ。」といったそうですそれから一週間、なんと7冊のスケッチブック(だったか700の絵だったかな?)をうめて持って行ったそうです。そして、ディズニーに雇われたそうです。
「キャラクターが何をしているかをアニメートしてはいけない。キャラクターが何を考えているかをアニメートするのだ。」これは、ディズニーではいつも口すっぱく言ってますね!アニメーションは動きのアートですが。キャラクターが何をしているかをアニメートしてもダメなんですね、キャラクターの頭の中に入りいったい何を考えているかを理解しアニメートしなければ。こう考えているから、こういう動きになるという手順を踏んで初めて、自然なアクティングができるわけですね!
ー「グレン、この映画を作れると良いね。」ー
グレンキーンはラプンツェルの構想を練っているときに。オーリージョンストン(ナインオールドメンの一人)にそのスケッチを見せたそうです。「グレン、この映画を君が作れることを願うよ」とグレンキーンに対し言ったそうです。当のオーリージョンストンは2008年に亡くなってしまったので、ラプンツェルの完成を見届けることはできませんでした。
ーラプンツェルでCGアニメーションをやってみたー
ラプンツェルを製作中にCGアニメーターのやっていることを理解するために自分もCGアニメーションに挑戦してみたそうです。
「超難しいよ!ちょっと欲しいポーズをつけるだけなのにめちゃくちゃ大変だ!」と言っていました。ただそうすることで、技術に対する理解をすることができるとも言っていました。(でもやっぱり、2D手描きが好き!と)ただ手描きが好き!という人にはCGの技術の進歩により自分の仕事がなくなったりと嘆いたり、コンピューター系はやだ、と拒否反応を起こす人は多いのですが、グレンキーンの凄いところは「新たな手描きの可能性が新技術によってできるようになる。」と言ったりしていて、自分がCGアニメーションをできないやりたくない、と思っていても、新しい技術に対して貪欲なところですね。未知の世界に足を踏み込める人、尊敬します。
ちなみに「僕は鉛筆と紙、だけどディズニーにはコンピューターがまさに僕にとっての鉛筆と紙だったという人が沢山居る、あるCGアニメーターは絵は全くダメで、元々は配管工だったが、今はディズニーでもものすごい素晴らしいアニメーションを作ることができるCGアニメーターだ。まさに、CGが彼にとっての天職だったんだね。」と言っていました。
ーラプンツェルはCGで作ってくれよー
ラプンツェルのスケッチの話が出てきましたが。オーリージョンストンに見せたスケッチや構想を当時のプロデューサーに見せたら「素晴らしい!是非作ってくれ!ただ一つだけ、」といってその注文というのが「CGでつくれ」というものだったらしいです。「でも、君はこの手描きの感じが好きだといったじゃないか?それをCGでやれというのか?」と悩んだそうですが。結局ラプンツェルで「まさに古き良きディズニーのキャラクターがそのまま3Dになっている!」という見た目を成功させたことに対するグレンキーンの功績は大きいのではないでしょうか。
ーラプンツェルはCGで作ってくれよー
ラプンツェルのスケッチの話が出てきましたが。オーリージョンストンに見せたスケッチや構想を当時のプロデューサーに見せたら「素晴らしい!是非作ってくれ!ただ一つだけ、」といってその注文というのが「CGでつくれ」というものだったらしいです。「でも、君はこの手描きの感じが好きだといったじゃないか?それをCGでやれというのか?」と悩んだそうですが。結局ラプンツェルで「まさに古き良きディズニーのキャラクターがそのまま3Dになっている!」という見た目を成功させたことに対するグレンキーンの功績は大きいのではないでしょうか。
ー「怪獣達のいるところ」のテストー
先ほどもグレンキーンは新技術に貪欲だといいましたが、ピクサー設立前ジョンラセターがまだディズニーに居た頃ですね。グレンキーンがアニメーションをし、ジョンラセターが3D背景をつくるというアニメーションの試作品を作ったことがあります。結局映画としては実現しなかったこのシークエンスですが。当時からラセターは3DCGのアニメーションの可能性を、グレンキーンは手描きアニメーションを、新技術を使いもっと自由な表現ができないか、ということを追い求めていたのですね。
この手法はターザンでや美女と野獣でも使われましたし。技術の進歩に貪欲であるという側面はウォルトディズニーもそうでしたね。
ー技術はアートを、アートは技術を進化させるー
アーティストとというのは、時には技術者が「おいおい、何考えてんだ」という事をやりたいというものですが、それをやる事で技術が大きく進歩することがあります。逆に、技術というものが進歩することによって、アートというのは今までにない表現の方法を得る事もできます。技術とアートというのは決して相容れないものではなく、お互いがお互いを押し上げあって、進化していくものだというような話でした。今回のGoogleのプロジェクトにおいても。グレンキーンに話を持ちかけたプロデューサーにグレンは聞いたそうです「で、何をやってほしいんだい?」そして、彼女は答えたそうです「何でも、あなたのやりたいことをやって、それが私達の技術を進化させるから」「hmm, I like this lady(ふむ、彼女を気に入ったぞ)」と、こうしてDuetのプロジェクトも始まったようです。
グレンキーンは将来的には技術の進歩により新しい手描きの表現ができることを目指しているようです(ディズニーのショートフィルムPaperman邦題:「紙ひこうき」も似たように技術と手描きの橋渡しが上手くされている作品ですね!)
技術とアートの関係、私はSIGGRAPHに何度か顔を出しているのですが、まさにアートと技術が交じり合った場所ですね。技術者はアートをかじり、アーティストは技術系のことをちょっとかじっておくというのはこれ大切じゃないかなあというのは前々から感じています。
ー基本原則はいつも新しい側面を見せてくれるー
このブログでも説明しているアニメーションの基本原則ですが。これはいつになっても、新しい発見があるそうです。同じ原則についても、年を重ねるごとに、アニメーションのキャリアを重ねるごとに、どんどんどんどん、もっと深いところで理解をする、発見があるということが尽きないそうです。Every film, I understand it in the deeper way(映画製作のたびにもっと深いところで理解している)と言っていました。 今もなおそうであるとも言っていました。60歳のおじいちゃんだし、もうこんなに長いキャリアを積んでいても、基本原則から新しいことを発見する事があるんですね。大事ですね、基本原則!
ただ、これは私もその通りだとおもいます。私なんてまだまだプロ暦2年のアマちゃんですが、基本原則が載っているディズニーの本と出会ったのは高校生のとき。というともう10年も前ですね。あの時から何回読み返したかわかりませんが、今でも発見がありますし、たぶんいくつになってもそうなのでしょう!
ーWhen you don't know what you are doing, that's when you are growing as an artistー
「自分が全く何をやっているのかわからないとき、それはアーティストとして成長しているときだ」自分の今まで知らなかった技術、未知の世界、新しいことそういう事を始めると必ず自分が何をしているのか、正しいのか間違っているのか全くわからないことがあります。そういう時こそアーティストとしてまさに成長している時なのだ!と言ってました
ーNever forget what it is to be like a child.ー
「子供であるというのがどういうことかを忘れるな」子供というのは、素晴らしい。思っても見ない方向から物事を考えるしとてもクリエイティブな存在だそういうエッセンスをアーティストとして忘れないで。
ーOpening yourself upー
「自分を解放しろ」自分の直感や、やろう!と思ったことを信じて突き進めみたいな内容でした。映画を作ったりアニメーションをやっていると。「ちょっとこれは、さすがにcheesy(ありふれた)すぎるだろう」とか、「いやいや、こんなお涙頂戴とか思われちゃいそうだし。」とか思ってやらないことが多いのですが。そういうものこそ、やった方がいい!という時もあるという話でした。色々な考えが邪魔して、一歩引いたものになってしまうのを避けるために自分を解放しろ!という話をしていました。
ー目の前で、生でビースト、ラプンツェルをすらすら描くグレンさんー
アニメーションの博物館なのでもちろん、ライトテーブルと紙と鉛筆が用意されていました。すらすらと、美女と野獣のビースト、ラプンツェルからラプンツェルを描くグレンさん。描く姿を見てるだけでこちらのモチベーションも上がります!
と、いうわけで
グレンキーンさんを生で見るのは二回目ですが、前回も思いましたが。本当に素晴らしいアーティストだなあ!と心底思います。やさしく、知識が豊富で、なのに、まるで子供のよう(ピカソとかもすっごく面白い遊びごころのあるおじいちゃんだったみたいですね、そういう雰囲気があります)。彼がディズニーを去って一年ちょっとですが。これからどんなことをしていくのかが楽しみです!ナインオールドメンが全員この世を去った今、彼は私の世代から見たらディズニーレジェンドですから。今日のレクチャーは沢山沢山インスピレーションをもらうことができました!
というわけで、AnimSquadでやるサウンドクリップも決まりましたのでそのことについてまた数日中うに記事をかきますねー!
では!
0 件のコメント:
コメントを投稿