2015年8月24日月曜日

Straight Ahead and Pose to Pose(ストレートアヘッドとポーズトゥポーズ)

さて、今回の12原則の一つは

ストレートアヘッド(Straight Ahead)とポーズトゥポーズ(Pose To Pose)です。

この原則は、アニメーションをする際のワークフローの違いのようなものです。

ショットをもらいアニメートをする際にいったいどういう手順でアニメーションを完成に持っていくのかというアプローチの仕方の種類という感じ。

12原則でよく言われるのは上記のStraight Aheadと Pose to Poseなのですが、今回は「3Dアニメーターからの視点で」という私のブログのスタンスもあり、ここに

Layered(レイヤード)という3Dならではのアプローチも足そうかな。と思います。

簡単にこの3つを説明すると

ストレートアヘッド=最初から順々に作っていく

ポーズトゥポーズ=重要なポーズ(キーポーズや原画)を最初に作り後から間を埋めていく(インビトゥウィーンや動画)

レイヤード=パーツごとに動きを(レイヤーを重ねるように)つけていく。

といったところですかね!

では一つ一つ詳しくどんなものかを見ていきましょう!レツゴー!

-Straight Ahead ストレートアヘッド-
まずはストレートアヘッドというアプローチの仕方。

文字通り「まっすぐ」進んでいくやり方。

2Dアニメーションで言ったら1枚目の絵を描き次の絵を描きと順番に最後まで描いていくやり方です。

計画性をそこまで重視せず、自由に描く、その場その場でアイデアが出ればそれを使うという感じのやり方なので。結果的にショットが独創的で面白いものになる事がおおいです。

ただその計画性の無さゆえに2Dだったらパースがいつの間にか狂っていたり、カメラからはみ出ちゃうなこれ、って事になったりという事もありえます。

3Dだとパースが狂うと言うような問題は出ないにしろ、この部分では右足が前に欲しかったのに左足が前に来ちゃったとか、似たような問題が起こる事もあります。

クレイアニメのようなストップモーションアニメーションの場合は後から調整するという事が極めて難しいのでほぼstraight aheadでアニメートしなければいけないです。(クレイアニメは撮り始めちゃうと修正が必要な際、最初から撮り直す事になるので、その場合アニメーションの段階に入る前にプランニングをよりしっかりとしないといけないです。)





-Pose to Pose ポーズトゥポーズ-
次にポーズトゥポーズというアプローチです。

重要となるキーポーズ(日本の手描きアニメで言えば原画かな?)を最初に作り、あとからキーポーズとキーポーズの間(英語ならInbetween、日本でいう動画?)を作っていくというやり方です。

この方法の良いところは最初にキーポーズをつくることでショット全体の図面のような物が短時間で出来あがるということです。

なのでキーポーズの段階でフィードバックを貰って修正があった場合、ストレートアヘッドで全部アニメートしてから修正するよりもはるかに修正しやすいです。

そしてすでに大まかな流れはキーポーズを作った段階でできているので、このあとどうしよう、とか、うわ!思ってたより右に行きすぎちゃった!というような問題にぶつかる事も少なくなります。


2Dの場合、商業アニメは高い確率でこのやり方を取っています。早い段階で監督なりスーパーバイザーなりからのフィードバックを貰えるのでそうなったのでしょう。

3Dですとブロッキングという段階がポーズトゥポーズのキーポーズを作った段階に近いですが、ブロッキングそれ自体をストレートアヘッドでやる事もポーズトゥポーズでやる事もできます。





-Layered レイヤード-
レイヤードアプローチは3Dならではのやり方です。

ちなみにアニメーションレイヤーというMayaについている機能を使うのとは全く別です。

ショット全体を通しての動きをパーツごとにつけていくというやり方です。

例えばメインの腰のコントロールの動きとタイミングをまずつけてしまって、そのベースとなる動きとタイミングができたら他のコントロールの動きを「レイヤーを重ねるように」つけていく。といったやり方です。

アクション系の動きが激しいショットなんかに向いていると私は思いますが、アクティング系のショットもこのやり方でやるアニメーターさんもいます。

レイヤードアプローチはしっかりとグラフエディターを理解して、なおかつ頭の中でグラフとキーをきっちり管理できていないとめちゃくちゃになって何が何だかわからなくなる事になったりもするので、初心者向けではないかもしれないです。

レイヤードアプローチの利点はしっかりとグラフを管理しているため、修正の要請が入った時などに修正がしやすいです。

ただポーズトゥポーズに比べてポーズが弱くなりがちなのと、タイミングをしっかり見極める目が育ってないと全体的にメリハリのないヌメッとした動きになりがちです。

また、アニメーションがポリッシュの段階に入った時にレイヤードアプローチのやり方を使って細部に細かいディテールを足したりもできます。





-どの方法が一番良いのか?-
さて説明したこれらの方法ですが、どれが一番良いのでしょうか?

私は

「時と場合と人による!」

だと思います。

人によってやりやすいやり方っていうのは違うので。全部ポーズトゥポーズでやる人もいれば、全てレイヤードでやる人もいます。

そして、アクションショットか、演技系のショットか?によってもどちらの方がアプローチしやすいかなど決まってきます。

またゲームなのか、映画なのか?等

時と場合と人により、これがベストだ!

というチョイスは変わります。勿論どれでも対応できるアニメーターになればアニメーションをする際の自分にとっての選択肢が増えるのでアニメーションをしやすくなるとは思います。

ちなみにショットごとにこのスタイル!という風に決めないといけないわけでも有りません。
「これはストレートアヘッドとレイヤードの組み合わせで。」
「これはレイヤードオンリーで。」
「このショットはポーズトゥポーズオンリーでやろう!」
等やり方は無限にあります。

なので色々と試してみて自分のやり方やどのショットにはどういうやり方が合う等を模索してみるのがいいでしょう!

最後に思いついただけ、それぞれのメソッドのメリットデメリットをまとめてみました。

Straight Ahead 
メリット
ー動きが自発的で独創性のあるものになる
ー動きが激しかったり、キャラクターの感情をガンッと出す時とかにむいてる
ーその場その場のアイデア次第なので面白いものができるかも

デメリット
ー計画性がないので前/次のショットとの繋がり、レイアウトからはみでる、思ってたのと違うとかなっちゃうことも
ー初めから順につけていくので全部やっちゃったあとに修正入ると大変


Pose to Pose
メリット
ー計画性があって全体像が早い段階でみれる
ー早い段階で全体像が見えるので監督なりスーパーバイザーなりから直しやすい段階で意見をもらえる
ー最初に図面のようなものが出来上がるのでやりやすい
ーとても強い(魅力的な)ポーズができる
ーブロッキング時のアピールが強い

デメリット
ー逆に図面がもうあるので独創性にかけるものになることも
ー3Dの場合この方法でポリッシュまで行ってグラフエディタも汚い場合修正しなきゃいけない時大変。
ーレイヤードと比べると時間がかかる。


Layered
メリット
ー早い段階で最終的なタイミングを決められる
ー修正が比較的簡単。
ーなれると早い
ーアクションとかがやりやすい


デメリット
ーブロッキングがポーズトゥポーズに比べて見栄えが悪いことがある(このスタイルはポーズはあとで強くしていくというスタイルなので、最初からポーズを詰めていくのと比べるとブロッキング時のポーズは弱くなりがち。
ーステップモードでブロッキング提出を求められると、それ用にファイル作らないといけなくてちょっとめんどくさい。
ーポーズが弱くなりがち。
ータイミングをしっかり良いものにしないとフニャフニャしたアニメーションになっちゃう


と、こんなところが思いついたんですが、質問、ご意見ありましたら教えてくださーい!


久々の更新で、しかも文字ばかりでしたけれど!

それでは!