2014年11月30日日曜日

Anticipation(アンティスィペイション)

ではアニメーションの原則二つ目

アンティスィペイションについてです。
Anticipationを略して Antic(アンティック)なんていったりもします。


日本語訳は予備動作となっていますが、どういうものかというと、何かメインの動作が始まる前に次になんか来るな。ていうのを観客に予想させるモーションのことを言います。


せーの、それ!だったら、「せーの」の部分がアンティスィペイションです。

野球のバッターがスイングするんだったら、振る前に後ろにバットをグイーーッと引くモーションあれがアンティスィペイションです。


アンティスィペイションがあることで、「お、もうすぐバッターがスイングするぞ」と観客は理解できます。

見ている人に次は何か来るぞという一呼吸の心の準備をあげる部分ともいえます。

うーん、やっぱり、言葉で説明するのが難しい、ので動画で説明します。

こちらの動画はアニメーションのエクササイズでは良くやるジャンプのアニメーションですが。
(アンティスィペイションの説明の為に作った動画なので細かいところは雑なのは許してー。)




このジャンプで言ったら、このしゃがんだポーズがアンティスィペイションになります。
次ジャンプするよーというのの前置きみたいなポーズですね。

他にも例を挙げると。



 このAのポーズからBに行きたいとします。

アンティスィペイションなしでそのままだと。単純にAからBに移行するだけだと


こういう感じになります。
AからBに行く前にお、これからBに行くんだな。という動作無しにBに入るパターンですね。

これでアンティスィペイションを入れてみると。




こういう感じの動作になります。



AからBに移る間に今から移りますよー、みたいな、一呼吸のポーズが入ってます。
これだけでだいぶ違います。

で、じゃあ、すべてアンティスィペイションがいるのかというと、そうでもないところがアニメーションの難しいところで、アンティスィペイション無しにいきなりガン!っときたりして、観客がびっくりするようなものが求められてるときにはアンティスィペイションはいらないですし。アンティスィペイションないほうがスムーズに事が運ぶようなショットとかも、あると思います。このAとBの例でも、アンティスィペーションなしバージョンもポーズとポーズの間のタイミングやら、ショットの内容によっては正しいこともあるので、これも、やっぱり、アニメーターは自分の判断力を使ってどうするか決めます。


ですが、大体の動作にはアンティスィペイションがあるので、注意して人の動きなんかを見てみるのが一番ですね、やっぱりアニメーターは分析力!

じゃあ、最後に皆大好き、アナと雪の女王のレットイットゴーのシークエンスから例を見てみましょう。


うーん、超よいアニメーションですね。惚れ惚れしちゃいます。

で肝心のアンティスィペイションですが

エルサが雪の魔法をブワッっとやるところ三つくらい見てみましょう(以外にも随所にアンティスィペイションの例はありますが)







と、気をつけて見始めたらアンティスィペイションだらけだと思います。


ということで二つ目の大事なアニメーション要素、アンティスィペイションのお話でした。

Yohei Koikeさんのアニメーションブログでもアンティスィペイションの例が紹介されていますのでこちらも為になります!
ANITOON Japan  第六回 アンティスィペイションの力




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2014年11月29日土曜日

Squash and Stretch(スクオッシュとストレッチ)

では手始めに

スクオッシュ(潰し) と ストレッチ(伸ばし)

についてから書こうかな。

でも、言葉で説明するのがへたくそなので動画で見てもらったほうが早いと思うのです。

どちらもボールがぴょンぴょンはねている動画ですが。

一つ目はスクオッシュとストレッチなし、

二つ目はスクオッシュとストレッチが入っています。



「スクオッシュストレッチなし」



「スクオッシュストレッチあり」



二つ目の方が堅さがないというか、ボールの感じが変わりますよね。




この画像のように、元のサイズよりも、伸びてるのがストレッチ、つぶれてるのがスクオッシュ。
こういうフレームをいれることで、ボールが地面にぶつかったときのインパクトだったり、早さだったりを表現することができます。自分がアニメートしている物体の質感や、重量をコントロールできます。

たとえば、堅いボールだったらストレッチもスクオッシュも全く無く最初の動画のようなかんじになるでしょうし、もっと、やわらかいゴムでできたようなボールだったら二番目の動画みたいにもっとスクオッシュとストレッチが激しい感じになるでしょう。


こういうスクオッシュとストレッチを随所に使うことで、動きにやわらかさとか躍動感が生まれます。


ちなみにボールで表現してみましたが、別にボールだけとは限りません、顔のパーツ全体でストレッチやスクオッシュをいれることもあります。

こんな感じに


普通の表情

スクオッシュされた表情

ストレッチされた表情



ただ単に顔のサイズを伸ばすとかではなく眉毛や目や表情としてストレッチスクオッシュすることがみそです。


あとは体全体を使ってストレッチスクオッシュする事もできますし。ちょっとこのポーズはやっつけになっちゃった感じですが、こういう感じで、ポーズがスクオッシュやストレッチされてる状態というのもできるし。

「スクオッシュポーズーデフォルトポーズーストレッチポーズ」


スクオッシュとストレッチはいたるところで使われます。


グーグル検索で squash and stretchと画像検索をかけると、結構あーこういう感じか。というのがわかると思います。


これはアニメートしていく上でいっつも使うテクニックですのでさすがリストの一番上に来るだけあって大事なことです。リストにあるのは全部大事ですがね。

ちなみに、アニメーションで大切なのは「バランス」だと思います。スクオッシュストレッチをどれくらい入れるかというのは、アニメートしている物体、作品のスタイル、シチュエーションで大きく変わりますので、沢山ストレッチして沢山スクオッシュすればよく見えるというわけでもありません、いい塩梅でスクオッシュとストレッチを的確に取り入れることが大事だと私は思うのです。

Malcolm character courtesy of AnimSchool.com


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アニメーションの原則-Principles of Animation-

ブログの初投稿です。実際アメリカでアニメーションを学ぶと絶対にやる基礎中の基礎なので、これについてブログに書く意味あるかなあと思ったのですが、グーグル検索してみても日本語ではそんなにヒットしなかったので、書いちゃうことにしました。

まあ基礎中の基礎なので初投稿にはちょうどいいでしょう、しかし、12も項目があるので、すこしづつアップしていこうと思います。


アニメーションの12の原則

英語では

12 Principles of Animation(プリンスィプルズ オブ アニメーション)といいます。


9 old men(ナインオールドメン) とよばれるディズニーの伝説のアニメーターとされる9人のうちの2人である、フランクトーマスとオーリージョンストンによって書かれた


ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 ― The Illusion of Life ― という本に登場するアニメーションの基礎です。



この本自体がディズニーアニメーターが長年かけて蓄積してきた知識や技術の塊でもあるので、アメリカでアニメーションを学ぼうとすると、必ず買わされる、というかまずアニメーターなら皆持ってる、アニメーターのバイブルレベルの本です。

私の学校ではアニメーションの最初の授業でこの本と

アニメーターズサバイバルキット という二つは教科書として指定されていました。(両方とも皆持ってるレベルの本です。)

この二つの本や、こういう原則は2Dアニメーション時代に築かれたものでして、3Dアニメーターである私に何かメリットがあるのか?と思うかもしれませんが。アメリカの3Dアニメーションの技術や知識はすべてまるっと、2Dアニメーションの技術に基づいています。もちろん、細かいところを突っ込んでいくと違いはありますし、違うスキルが要求されますが、一番大事な部分において学ぶことは大体一緒なのです。(紙かパソコンのソフトかという違いで大事なことはほぼこの12原則に集約されています。)


でも、私も3Dアニメーターですので、3Dアニメーションにおいてこれっていったいどういうことなの?という視点で書いていこうかなーと思います。

(日本語訳は命を吹き込む魔法に書かれているものにのっとって表記してます。)

それではこちらが12の基礎になります。順を追ってすこしづつ更新していきますね。更新したら下からリンク先に飛べるようにしておきます。

1. Squash and Stretch(潰しと伸ばし)

2. Anticipation(予備動作)

3. Staging(演出)

4. Straight Ahead and Pose to Pose(逐次描きと原画による設計)

5. Follow Through and Overlapping Action(あと追いの工夫)

6. Slow In and Slow Out(両端つめ)

7. Arc(運動曲線)

8. Secondary Action(副次アクション)

9. Timing(タイミング)

10. Exaggeration(誇張)

11. Solid Drawing(実質感のある絵)

12. Appeal(訴える力)

上記の説明で使った動画(いるか要らないかは別として笑。)をグーグルドライブに上げてあるので欲しい人はどうぞ!

Principles of animationというフォルダにアップロードしてあります。↓

アニメーションおばけフォルダー


ちなみに、ビジュアルで理解できる素的な動画があったのでこれを見るとなんとなくこういうことか、というのが、わかるかと思います。




The illusion of life from cento lodigiani on Vimeo.