2020年6月14日日曜日

レイアウト

さてさて、


の記事で上げた項目を全部記事にしないままなんかもう5年くらいたっていますね。
ここ数年更新ができていませんが、ブログを捨てたわけではありませんよ笑。

最近は仕事でレイアウトをやることがすごい多いのでこちらのレイアウトの記事を更新しようと思い立ちました。アニメーターの人ではレイアウトをやる人も結構多いのではないでしょうか?

レイアウトとは?

「レイアウト」という言葉自体は、日本語の中でもいろいろな業界や場面で使われる言葉です。ここでは当たり前ですが3DアニメーションとかCGの世界においてのレイアウトの説明をしていきます。

とはいえ、3Dアニメーション以外でも、色々な場面で使いますよね!レイアウトという言葉は。

しかし、言葉の説明からするのが好きな私なので、英単語の説明からします笑。

まず英語でもそのままLayoutといいますね(というかまあ、英語から来ている。)

英単語では lay out と動詞で使うと「並べてみる」という意味もあり、名詞としての layout を調べてみると
the way in which the parts of something are arranged or laid out.(何かの一部の並べ方とか編集され方)

というのが出てきます。ふむ、、、わかるようなわからんような。

とはいえ、カタカナの横文字が出てきてわからないときは、語源である元の意味を知るとぐっとわかりやすくなります。

3Dアニメーションの世界においては

ストーリーボードや絵コンテがあればそれを、なければ台本などの状態のものを、3D空間でカメラやキャラクターを配置し、アニメーションのできる準備をする段階と考えてもらうとよいかもしれません。

良い例としてこちらのモンスターズユニバーシティのストーリーボードから完成までを段階的に見せている動画を見てみましょう。






Layoutが12秒あたりから始まりますが、レイアウトは通常こんな感じの状態です。キャラクターが画面上のどの辺にいるか?などが分かるよう簡単なポーズがついていたりしますが、簡易的なもので「良いポーズ」とかはとりあえず忘れて、カメラワークとカットのつながり、大まかなタイミングなどを決めていきます。

アニメーションに入ってしまう前に、しっかりカメラワークを決め込んでおかないと、直すのに二度手間になってしまったりしますので重要な段階です。(アニメーターがカメラを少し後で調整ということはいくらでもあるのですが、全体的にはここでしっかり決めておくことが多いです。)

レイアウト作成の流れ


1.必要なものを集める
台本なり絵コンテなりを読んで、必要なものを把握したら、3Dプログラム内に必要なものをかき集めます。(私は大体MAYAなのでMayaですが、プロセス的にはどれも似た感じだと思います。)

ーカメラ
ー背景
ーキャラクター
ープロップ(小道具)
ー音声があるなら音声

個人制作だと自分で用意しないといけないものも多いかもしれませんが、スタジオ等の場合大体、カメラはこれを使ってくれ、キャラクターはこれを、小道具はここから、といった感じに大体のパイプラインができているところが多いです。

小さめのスタジオだと手動でやらないといけないところも多いとは思いますが、スタジオによっては「ポチっとな」でいろいろな必要なものをシーン内に集めてくれるようなスクリプトがある場合もありますが、そういうのがあると時短になります。

背景は、適当に簡易背景を置いておいて、アニメーションが出来上がってからSet Dressingといってセットをきれいにしていく形もあれば、最初に背景がもう出来上がっているのでそれを読み込んでほしい、という形など、業界やスタジオによって様々です。それぞれのパイプラインのやり方に合わせてやりましょう。

2.レイアウトを作る!

実際にキャラクターやカメラを配置して、欲しいレイアウトを作っていきます。カット(ショット)ごとにシーンファイルが分かれているスタジオもあれば、長めのシークエンスを1つのシーン内に収めているスタジオなど、様々です。どちらにしろ、レイアウトを作るときはカットとカットのつながりが大事になってきますので、その辺は意識するといいと思います。

実際にレイアウトを作り出してみると、

「あれ?ストーリーボードではコップを持っていたけど、コップのモデルって出来てますか?」→「あ!やばい!無いや作らないと!」

「キャラクターのセリフがまだ最終版ではないけどどうしますか?」→「プロの声優さんの音声が上がるまでまだあるから、とりあえずカメラワークだけしっかりやって、後で微調整しよう!」

「ここモブキャラが3人いますが、リグ出来てますか?」→「あ、これは○○のリグを使っておいてください、あとで差し替えます。」

などなど、いろいろな疑問が出てくると思うのでそういうのも作りながら解消していくとよいと思います!

レイアウトは誰がやる?

アニメーターの仕事は基本アニメーションをつけることなのですが、スタジオの規模によってはアニメーターがレイアウトを担当することも少なくはありません。
大きいスタジオによってはレイアウトを専門にやる人を雇ってるところも多いです。

またThe Third Floorという会社のように、3Dプレビズ(3Dストーリーボードのようなもの)を専門に扱う会社もあります。

冒頭で言った通り、私も現在、レイアウトの仕事が多めになっています。(私の会社はゲーム会社なのですが、アニメーターがインゲームからシネマティクス、レイアウト作りまでいろいろと担当します。)

レイアウトは私は弱いところなのでもう少し勉強しないとです笑

レイアウトに重要な事とは?

画面構成
ほんとに重要な事がいろいろあるのですが、やはり映画の画面構成についての知識はたくさんあればあるほど良いと思います。

例えば、ステージング の記事で書いたような画面構成についての知識事を把握しているとレイアウト作業をやるうえでとても役に立ちます。

ソニーでアニメーターをしている若杉さんのユーチューブ動画でも少しレイアウトの基礎知識について触れていてよいですね!

若杉さんのレイアウトについてのYoutube

フォーカルポイントやEyeTrace




フォーカルポイントについてのAnitoon記事

ヨーヘイさんのこのブログのFocal Pointというのはとても大事なのですが、なかでも、カットが切り替わるときのFocal Pointを維持するというのがとても大事です。EyeTrace(アイトレース)と英語では言ったりするのですが。観客がどこを見てるか?という視線誘導の話は静止画ではよくされる話ですが、アニメーションは動画です、なので、カットが切り替わる瞬間に観客がどこを見ているか?というのも気を付けなければいけない部分なんですね。


最初に挙げたモンスターズユニバーシティの動画もそこを気を付けつつもう一度見てみると、EyeTraceがしっかり考えられて作られているのが分かると思います。

皆さんも次に映画を見るとき、カットが切り替わる瞬間のEyeTraceに気を付けてみてみると面白いですよ!

カメラの知識

またカメラの知識についてもしっかり把握しているとよいです。

3Dでは現実のカメラを模したカメラを配置できるので、そこで実際にFocal Length(画角)なども設定できるので、現実のカメラワークについての知識があるとレイアウトもやりやすくなります。

カメラワークについてもしっかり知っておくのがよいです。ドリー、パン、ズーム、などなど、違いは分かりますか?こういう言葉もしっかり知っておかないと、レイアウトのフィードバック時の意思疎通が取りにくくなるので、こういうことに精通しているというのも、必要になってきます。

中にはそういうトリックを使ったVertigo Shot(Dolly Zoom shot)と呼ばれるものもありますので、調べてみると面白いです。

カメラワークについてはまたいつか別で記事にしてもいいかもしれません。

日本のアニメのレイアウト

最後に少し、日本のアニメでのレイアウトについて触れたいと思います。私の書いてるのは主にアメリカの大学と業界で学んだことが多いので、そっち方面に振り切ってる感じなのですが。日本のアニメのレイアウトはかなりスタイルが確立されていて。英語圏のスタジオでもすっごい大人気です!よくレイアウトをやってると、アニメのこんな感じのあれかっこいいよね!と同僚アニメーターからGIFが送られてきて、みんなでアニメを見ては研究。。なんていう事もしばしば。

日本のアニメのレイアウト手法についてはまだまだ勉強をしないといけない部分なので、頑張っていきたいです。

おわりに

と、レイアウトというのがどういうものかの簡単な説明でした!

最近は若杉さんのサイトにいい情報が詰まっているので自分でブログを更新しなくなったのもあります、が、やっぱり自分の言葉で学んだことを発信していくのはいいことですね!


ただ、レイアウトもアニメーションと一緒で観察がすごい大事です。お気に入りの作品を見ながら、なぜそのレイアウトが素敵なのか?かっこいいのか?自分で研究してみるといいと思います!


では、ハッピーアニメーション!


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